風「ウインドレス・ブルー」/「君と歩いた青春」~ 青春の原風景 ー 言葉、人、景色

今日は、わたしの思い出の曲の中から、1970年代に活躍したフォークデュオ「風」「君と歩いた青春」について話します。

「windless blue」(ウインドレス・ブルー)

「君と歩いた青春」は、風のサードアルバムwindless blue」ウインドレス・ブルー、1976年11月25日レコード発売)に収録しゅうろくされている曲です。

「windless blue」を初めて聞いたとき、それまで風が発表してきたアルバムやシングルレコードと少し違う印象を受けました。

言葉で表現するのはとても難しいのですが、このアルバムに入っている曲は、「歌」というよりも「風サウンド」と呼んだ方が曲の雰囲気をよりあらわしているような印象を受けました。

テレビで見た風サウンド

このアルバムを発表したあとだったと思いますが、風がテレビ番組に出演しました。

風の2人のうしろにはバックバンドがひかえ、しょうやん(伊勢いせ正三しょうぞうさん)はエレキギターをいていました。

テレビを通じてですが、初めて「風サウンド」を聞く(見る)ことができました。

アレンジで感じたこと

さて、「君と歩いた青春」は、淡々たんたんとリズムを刻むピアノ伴奏に、エレキギターの音が重なりながら始まります。

この曲を聞いたとき、わたしが感じたことをいくつか並べてみます。

※ レコーディングに参加したミュージシャンのみなさんについては、後述の「君と歩いた青春」録音データ(1976年)をご覧ください。

 

エレキギターは、「すぐ近くでギターを弾いていながら、一度音が遠くへ行き、それが反射して再び近くでひびいている」、そんなイメージで聞こえてきました。

曲全体では、ピアノとエレキギターはもちろん、アコースティックギターも存在感を発揮していました。

そして、エレキベースやドラムスがそれらの音を追い越し、曲調を変えていくところがカッコいいと思いました。

また、曲が盛り上がっていくと同時に自然にストリングスが入り、歌物語うたものがたりをより盛り上げていくのもすてきでした。

頭の中で響かせながら歌う

わたしは当時、フォークギターを弾きながらこの曲をよく歌いました。

2番の歌詞の中にある「きれいな夕焼け雲をおぼえているかい」というフレーズが特に好きでした。

歌うときにはこの曲のアレンジ通り、エレキギターを始めいろいろな楽器を頭の中で響かせながら歌っていたように思います。

テーマは別れ

この曲のテーマは「別れ」です。

メジャー調で、しかも、正やんが「あの声、あの歌い方」で歌うので、すぐに感じ取ることができませんが、「別れ」がテーマであることは確かです。

ですから、歌詞のほうは、聞きようによっては深刻しんこくです。

歌詞の最初に、「君がどうしても帰ると言うのなら、もうめない」という部分がありますが、「えー、どうして? 止めてよ!」という声も聞こえてきそうです。

でも、わたしの想像では

この曲に登場する2人にしかわからないようなさまざまなできごとが、これまでもたくさんあったのでしょう。

そして、別れという結論を受け入れきれず、今でも2人の思いはれ動いているのでしょう。

2人のことをそっとしておいてあげたい・・・。

この曲を聞いていると、そんなことを勝手に想像してしまいます。

原風景の中に

「君と歩いた青春」ーこの言葉の響きを聞いただけで、わたしの心は切なくなります。

この曲と出会ったときから、そして、この曲をじっくりと味わうようになった今でも、その思いは変わっていません。

 

あの日、わたしがギターを弾きながら「君と歩いた青春」を歌い終わった後、誰かがぽつんとくちにした「女の子がかわいそう」という言葉、その場にいた人、まわりの景色けしき・・・。

ときには鮮明せんめいになったり、ときにはぼんやりとしたり、そんなことを繰り返しながら、だんだんと遠ざかっていく原風景げんふうけい

わたしの「君と歩いた青春」がそこにあります。

 

※「君と歩いた青春」録音データ(1976年)

作詞・作曲 ~ 伊勢正三さん
編曲 ~ 瀬尾せお一三いちぞうさん

9月23日 リズム・セクション録音 / 森谷もりやじゅんさん(ドラムス)、武部たけべ秀明ひであきさん(エレキ・ベース)、吉川よしかわ忠英ちゅうえいさん(アコースティック・ギター)、水谷みずたに公生きみおさん(エレキ・ギター、アコースティック・ギター)、渋井しぶいひろしさん(ピアノ)
9月24日 オーバーダビング / 伊勢正三さん(リード・ギター)
9月25日 シンセサイザーかぶせ / 渋井博さん(コルグ・ポリフォニック・アンサンブル)
10月2日 ストリングス・セクションかぶせ / ファースト・バイオリン6人、セカンド・バイオリン4人、ビオラ2人、セロ2人
10月5日 バスドラムのみダビング / 森谷順さん(※ チャンネル整理中にあやまって消したため)
10月8日 ボーカル録音OK(伊勢正三さん)

参考資料:『風をたずさえて』(1977年、八曜社)「windless blue」録音データより

 

※ LIVE『君と歩いた青春』2019

この曲と同じタイトルの「LIVE『君と歩いた青春』2019」というコンサートが、9月21日に開催されます。

2009年から年に1回大阪で開催されているコンサートで、今年で11回目を迎えるそうです。

「君と歩いた青春」にゆかりのあるメンバーが、参加者(お客さん)を大いに楽しませてくれるコンサートだそうです。

わたしは今年も行くことができませんが、いつかわたしもコンサートの雰囲気を味わってみたいなあと思っています。

 

 

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※ 正やんのかぐや姫時代の記事は、こちらをどうぞ。

 

 

 

追記:2021年9月12日、フォークデュオ「風」のメンバー、大久保一久さんが亡くなられました。心からご冥福をお祈りいたします。(2021年9月17日追記)