将棋 / 藤井聡太棋聖、全勝でタイトル獲得 ~ 2020年度第61期王位戦7番勝負結果
最年少2冠、最年少八段へ
2020年8月19日(水)~20日(木)、将棋・第61期王位戦7番勝負第4局が行われ、挑戦者の藤井聡太棋聖が木村一基王位に80手で勝ち、シリーズ4連勝で王位を獲得した。
藤井棋聖は、2020年7月16日(木)に行われた棋聖戦5番勝負第4局で渡辺明3冠(当時は棋王・王将・棋聖、8月27日現在は名人・棋王・王将)に勝ち、3勝1敗で初タイトルとなる棋聖を獲得したばかり。
このとき、藤井棋聖は、屋敷伸之九段の持つ最年少タイトル獲得記録(18歳6カ月)を30年ぶりに塗り替えている。(17歳11カ月でのタイトル獲得)
今回の王位獲得で藤井棋聖は、18歳1カ月での2冠達成となり、羽生善治九段の持つ最年少2冠の記録(21歳11カ月、当時王座・棋王の2冠)を28年ぶりに更新した。
また、「タイトル獲得通算2期で八段へ昇段」という規定により、18歳1カ月で現在の七段から八段へ昇段、これも加藤一二三九段が持つ最年少記録(18歳3カ月、順位戦A級昇級による八段昇段)を62年ぶりに更新した。
今期タイトル戦を振り返って
藤井棋聖は、対局後のインタビューで、「(王位戦は)自分にとって初めての2日制の対局で得るものがあった。内容的には押されている将棋が多かった。(4連勝は)自分の実力以上の結果。(最年少)記録は対局では意識していなかった。2つのタイトル戦で結果を残すことができたのは収穫だった」と述べた。
また、敗れた木村王位は、「ストレート負けは申し訳ない。一から出直します」と述べ、「結果には結びつかなかったが、いつも通りの準備ができた。実力通りの結果。またやり直せということ」と今シリーズを振り返った。
以前、「タイトルに挑戦する=挑戦者になる」のはごく一部の棋士であり、そのタイトル戦を勝ち、「タイトルホルダーになる」のもその中のほんの一部の棋士だけである、という記事を書いた。
そのような厳しいプロの将棋界で、昨年、初タイトル獲得の最年長記録を更新した木村王位。(46歳3カ月での初タイトル獲得)
木村王位は、今期王位戦第2局の「封じ手用紙」(通常2通作成)をチャリティー用にさらに1通作成することを提案。
そんな木村王位の提案を対局者の藤井棋聖をはじめ関係者も快諾したという。
来年度の王位戦は、挑戦者決定リーグからの出場となる。
また、王将戦は2次予選を勝ち抜き、第70期王将戦リーグ入りを決めている。
その他のタイトル戦も含め、再びタイトル戦の舞台に戻り、木村ファンを喜ばせてほしいと思う。
全勝で王位へ
今期王位戦、藤井棋聖は、予選から全勝で王位のタイトルを獲得した。以下、その対局記録を紹介する。
※参考資料~(公社)日本将棋連盟「月別対局結果」より、2020年8月27日現在。
予選トーナメント7組(7組は20人)
2019年
○ 9月25日(水) 竹内雄悟五段
○ 10月28日(月) 西川和宏六段
○ 12月17日(火) 出口若武四段
○ 12月27日(金) 斎藤慎太郎七段(当時)
※ 藤井七段(当時)は、負けたら終わりの予選トーナメントを勝ち抜き、挑戦者決定リーグ戦入り。
※ 王位戦予選トーナメントは、タイトル保持者(王位)、リーグ戦残留者(4人)を除く全棋士と女流棋士2人が参加、8つの組に分かれて行われる。
挑戦者決定リーグ戦白組(6人)
2020年
○ 2月18日(火) 羽生善治九段(リーグ戦から出場)
○ 3月20日(金) 上村亘五段(予選トーナメント4組から勝ち上がり)
○ 3月24日(火) 稲葉陽八段(予選トーナメント5組から勝ち上がり)
○ 4月10日(金) 菅井竜也八段(リーグ戦から出場)
○ 6月13日(土) 阿部健治郎七段(予選トーナメント3組から勝ち上がり)
※ 藤井七段(当時)は、5連勝で白組リーグ優勝、挑戦者決定戦へ進出。
※ 紅白、各組成績上位者2人ずつが、来年度の王位戦リーグに残留。
挑戦者決定戦
○ 6月23日(火) 永瀬拓矢2冠(叡王・王座)
※ 藤井七段(当時)は、紅組リーグ全勝優勝の永瀬2冠との挑戦者決定戦を制し、挑戦者となる。
第61期王位戦7番勝負
○ 7月1日(水)・2日(木) 第1局 愛知県豊橋市
○ 7月13日(月)・14日(火) 第2局 北海道札幌市
○ 8月4日(火)・5日(水) 第3局 兵庫県神戸市
○ 8月19日(水)・20日(木) 第4局 福岡県福岡市
※ 王位戦は、持ち時間各8時間、2日制のタイトル戦。藤井棋聖は4連勝でタイトル獲得。
将棋界タイトルホルダー