将棋 / 藤井聡太竜王、棋王位獲得 ー 史上2人目の「6冠同時保持者」へ ~ 2022年度第48期棋王戦結果(2023年3月)
史上2人目の「6冠同時保持者」へ
2023年3月19日(日)、第48期棋王戦コナミグループ杯 五番勝負第4局がおこなわれ、132手で後手番の挑戦者・藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖)が渡辺明棋王(名人)に勝ち、3勝1敗で初の棋王位を獲得した。
今回の棋王位獲得で藤井竜王は、8タイトル中、6つのタイトルを保持する「6冠同時保持者」となった。
これは、1994年12月に史上初の「6冠同時保持者」となった羽生善治九段についで2人目の快挙。(後述する<参考>羽生善治九段 ~ タイトル戦全成績 ~参照)
また、藤井竜王の20歳8か月での「6冠同時保持」は、羽生九段の持つ24歳2か月での「6冠同時保持」の最年少記録も29年ぶりに更新した。
終局後のインタビューでは
終局後のインタビューで藤井竜王は、「終盤はずっと、どうなっているかわからないままやっていた」と大熱戦となった本局を振り返った。
また、シリーズを通して、「非常に難しい将棋ばかりだった。しっかり振り返って、次につなげていけたらと思う」と述べた。
最年少で6冠となった気持ちについて聞かれ、「まだまだ実力的には足りないところが多いと思うので、その立場にふさわしい将棋がさせるように、より一層がんばらなくてはいけないと思う」と述べた。
一方、棋王10連覇中だった渡辺棋王は、本局について、「駒損が解消できなかった。終盤は息長く指して良い手があるかどうかの判断がわからなかった」と振り返った。
また、シリーズ全体については、「負けてしまった将棋があまりチャンスがなかったので、もう少しチャンスがある将棋にしないと、なかなか結果はついてこないという感じだ」と感想を述べた。
10連覇してきた棋王戦については、「長い年月出場させてもらったので、いろいろ思い出はある。また出場できるようにやっていきたい」と述べた。
次は名人戦の舞台で
2023年4月5日(水)から第81期名人戦七番勝負が開幕する。
名人は、現在名人位3連覇中の渡辺明名人。
挑戦者は、A級順位戦で同率1位(7勝2敗)だった広瀬章人八段を挑戦者決定戦で破り、挑戦権を獲得した藤井聡太竜王である。
今度は、タイトル戦最長の持ち時間各9時間、二日制の「名人戦」の舞台で、渡辺名人と藤井竜王が対局する。
2人とも万全の体調で対局にのぞまれるよう願いたい。
2人の対局が今からとても楽しみだ。
<参考>羽生善治九段 ~ タイトル戦全成績 ~
下表のように、羽生善治九段は、1994年12月に「6冠同時保持者」になった後、1996年2月には、史上初の7タイトル中「全7冠同時保持」を達成しています。
また、1996年11月29日決着の第9期竜王戦で谷川浩司九段に敗れて「5冠」になるまでは「6冠同時保持者」でした。
今回の藤井竜王の「6冠同時保持」は、それ以来、27年ぶりとなります。
※ 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧」より。
※ 挑戦者の呼称は、タイトル戦開始時の呼称。
※ 2023年3月20日現在。
※ なお、羽生善治九段は、上記資料の最後にまとめて記載していますが、7つのタイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)で永世称号を獲得しています。
歴代「棋王位」獲得者
大内延介(おおうち・のぶゆき)
① 第1期棋王戦(1975年度)34歳
② 棋王戦履歴 登場2回、獲得1期
加藤一二三(かとう・ひふみ)
① 第2期棋王戦(1976年度)37歳
② 棋王戦履歴 登場3回、獲得2期
米長邦雄(よねなが・くにお)
① 第4期棋王戦(1978年度)35歳
② 棋王戦履歴 登場7回、獲得5期
中原誠(なかはら・まこと)
① 第5期棋王戦(1979年度)32歳
② 棋王戦履歴 登場3回、獲得1期
桐山清澄(きりやま・きよずみ)
① 第10期棋王戦(1984年度)37歳
② 棋王戦履歴 登場2回、獲得1期
谷川浩司(たにがわ・こうじ)
① 第11期棋王戦(1985年度)23歳
② 棋王戦履歴 登場7回、獲得3期
高橋道雄(たかはし・みちお)
① 第12期棋王戦(1986年度)26歳
② 棋王戦履歴 登場3回、獲得1期
南芳一(みなみ・よしかず)
① 第14期棋王戦(1988年度)25歳
② 棋王戦履歴 登場5回、獲得2期
羽生善治(はぶ・よしはる)
① 第16期棋王戦(1990年度)20歳5カ月・・・最年少
② 棋王戦履歴 登場17回、獲得13期
※ 永世棋王(就位は原則引退後)
丸山忠久(まるやま・ただひさ)
① 第28期棋王戦(2002年度)32歳
② 棋王戦履歴 登場2回、獲得1期
森内俊之(もりうち・としゆき)
① 第31期棋王戦(2005年度)35歳
② 棋王戦履歴 登場3回、獲得1期
佐藤康光(さとう・やすみつ)
① 第32期棋王戦(2006年度)37歳
② 棋王戦履歴 登場6回、獲得2期
久保利明(くぼ・としあき)
① 第34期棋王戦(2008年度)33歳
② 棋王戦履歴 登場5回、獲得3期
郷田真隆(ごうだ・まさたか)
① 第37期棋王戦(2011年度)41歳
② 棋王戦履歴 登場3回、獲得1期
渡辺明(わたなべ・あきら)
① 第38期棋王戦(2012年度)28歳
② 棋王戦履歴 登場12回、獲得10期
※ 永世棋王(就位は原則引退後)
藤井聡太(ふじい・そうた)
① 第48期棋王戦(2022年度)20歳8か月
② 棋王戦履歴 登場1回、獲得1期
※ 棋士の敬称・段位・称号は省略。
※ ①は、棋王位初獲得年度と年齢。
※ ②の棋王戦履歴は、2023年3月20日現在。
※ 永世棋王は、棋王位連続5期以上保持で資格を持つ。
※ 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧 ー 棋王戦」より。