将棋 / 藤井聡太3冠、竜王位獲得 ー「4冠保持」の最年少記録を更新 ~ 2021年度第34期竜王戦結果

史上最年少4冠保持者へ

2021年11月12日~13日、第34期竜王りゅうおう戦第4局が行われ、挑戦者の藤井ふじい聡太そうた3冠(王位おうい叡王えいおう棋聖きせい)が、豊島とよしま将之まさゆき竜王を破り、シリーズ4連勝で竜王位を獲得した。

今回の竜王位獲得で藤井3冠は、19歳3カ月での「4冠保持」となり、羽生はぶ善治よしはる九段の持つ最年少4冠の記録(22歳9カ月、当時棋王きおう王座おうざ・竜王・棋聖の4冠を保持)を28年ぶりに更新した。

終局後のインタビュー

竜王位獲得について藤井3冠は、「まったく実感はありませんが、最高峰のタイトルなので光栄に思いますし、それに見合う実力をつけていければと思います」と感想を述べた。

また、8つのタイトルの半分を保持したことについては、「今期はここまで結果が出せていますけど、内容的には課題が多いので、そのあたりを今後改善していけたらと思います」と述べた。

一方、敗れた豊島竜王は、今期竜王戦について、「先手番で作戦があまりうまくいかなかったところがあったことと、後手番のときは、まずまずの局面は作れたと思うんですけど、そのあと、中盤から終盤のあたりで力負けしてしまったかなと思います」と振り返った。

また、来期竜王戦のことを尋ねられ、「竜王戦もそうですけど、王位戦や叡王戦も合わせて実力不足を痛感したので、実力をつけていかないといけないと・・・」と述べた。

2人の戦いは続く

藤井新竜王は、2022年1月9日から始まる第71期ALSOK杯王将おうしょう戦で、渡辺わたなべあきら王将(名人めいじん・棋王)に挑戦する。

渡辺王将と2日制のタイトル戦を戦うのは初めてである。

どのような戦いになるか今からとても楽しみだ。

 

また、豊島竜王は、2018年の棋聖位獲得以来、3年ぶりに無冠となり、九段として再出発することになった。

豊島九段は、竜王戦終了後の11月21日に公開対局で行われた、第42回「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」決勝で、またも藤井竜王と対戦、大熱戦の末、豊島九段(JT杯覇者)が勝利した。

豊島九段は、2020年に続き2年連続3度目のJT杯覇者となった。

名人位への挑戦にむけたA級順位戦も後半戦を迎える。(現在2位)

豊島九段の巻き返しに期待したい。

 

4冠達成者一覧(年少順)

① 藤井聡太(ふじい・そうた)19歳3カ月
2021年11月13日達成
棋聖・王位・叡王・竜王(全8冠)

② 羽生善治(はぶ・よしはる)22歳9カ月
1993年7月19日達成
棋王・王座・竜王・棋聖(当時全7冠)

③ 中原誠(なかはら・まこと)26歳0カ月
1973年9月5日達成
十段・名人・王将・王位(当時全5冠)

④ 谷川浩司(たにがわ・こうじ)29歳10カ月
1992年2月28日達成
王位・竜王・棋聖・王将(当時全7冠)

⑤ 大山康晴(おおやま・やすはる)37歳6カ月
1960年9月20日達成
王将・九段・名人・王位(当時全4冠)

⑥ 米長邦雄(よねなが・くにお)41歳6カ月
1985年1月8日達成
棋王・王将・棋聖・十段(当時全7冠)

 

 棋士の敬称・段位・称号は省略。
 九段戦・十段戦は、竜王戦の前身となる棋戦。
 ( )内は、当時のタイトル戦の数。
 ⑤の大山康晴は、当時全3冠を保持していたが、1960年創設の第1期王位戦で王位を獲得し、最初の4冠保持者となった。
 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「将棋ニュース」2021年11月13日より。

 

歴代竜王位獲得者

島朗(しま・あきら)
 1963年2月19日生
 第1期竜王戦第4局(1988年11月16日~17日)
 25歳8カ月
 竜王戦履歴 登場2回、獲得1期

羽生善治(はぶ・よしはる)
 1970年9月27日生
 第2期竜王戦第8局(1989年12月26日~27日)
 19歳3カ月・・・最年少竜王位獲得者
 竜王戦履歴 登場16回、獲得7期
永世竜王(就位は原則引退後)

谷川浩司(たにがわ・こうじ)
 1962年4月6日生
 第3期竜王戦第5局(1990年11月26日~27日)
 28歳7カ月
 竜王戦履歴 登場6回、獲得4期

佐藤康光(さとう・やすみつ)
 1969年10月1日生
 第6期竜王戦第6局(1993年12月9日~10日)
 24歳2カ月
 竜王戦履歴 登場5回、獲得1期

藤井猛(ふじい・たけし)
 1970年9月29日生
 第11期竜王戦第4局(1998年11月18日~19日)
 28歳1カ月
 竜王戦履歴 登場4回、獲得3期

森内俊之(もりうち・としゆき)
 1970年10月10日生
 第16期竜王戦第4局(2003年11月26日~27日)
 33歳1カ月
 竜王戦履歴 登場5回、獲得2期

渡辺明(わたなべ・あきら)
 1984年4月23日生
 第17期竜王戦第7局(2004年12月27日~28日)
 20歳8カ月
 竜王戦履歴 登場13回、獲得11期
永世竜王(就位は原則引退後)

糸谷哲郎(いとだに・てつろう)
 1988年10月5日生
 第27期竜王戦第5局(2014年12月3日~4日)
 26歳1カ月
 竜王戦履歴 登場2回、獲得1期

広瀬章人(ひろせ・あきひと)
 1987年1月18日生
 第31期竜王戦第7局(2018年12月20日~21日)
 31歳11カ月
 竜王戦履歴 登場2回、獲得1期

豊島将之(とよしま・まさゆき)
 1990年4月30日生
 第32期竜王戦第5局(2019年12月6日~7日)
 29歳7カ月
 竜王戦履歴 登場3回、獲得2期

藤井聡太(ふじい・そうた)
① 2002年7月19日生
 第34期竜王戦第4局(2021年11月12日~13日)
 19歳3カ月
 竜王戦履歴 登場1回、獲得1期

 

 棋士の敬称・段位・称号は省略。
 ①は生年月日、②は竜王位初獲得日、③は竜王位初獲得日の年齢。
 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧 ー 竜王戦」より。
※ 竜王戦履歴は、2021年12月9日現在。

 

将棋界タイトルホルダー