将棋 / 藤井聡太竜王、「名人位」獲得 ー 史上最年少名人誕生! そして史上2人目の「7冠同時保持者」へ ~ 2023年度第81期名人戦結果(2023年6月)

記録づくめの「名人位」獲得

2023年6月1日、第81期将棋名人戦第5局2日目が行われ、挑戦者の藤井ふじい聡太そうた竜王りゅうおう渡辺わたなべあきら名人に勝ち、4勝1敗で名人位を獲得した。

藤井竜王の20才10か月での名人位獲得は、谷川たにがわ浩司こうじ十七世名人の持つ21才2カ月の最年少名人記録を40年ぶりに更新する史上最年少での名人位獲得となった。

また、今回の名人位獲得で、藤井竜王は「7冠同時保持者」となり、これは、1996年2月に、25才4カ月で「7冠同時保持(全冠制覇)」を達成した羽生はぶ善治よしはる九段以来27年ぶり2人目、しかも史上最年少での「7冠同時保持」の偉業いぎょう達成となった。

さらに、藤井竜王は、「竜王・名人同時保持者」となったが、これは、2019年12月に「竜王・名人」となった豊島とよしま将之まさゆき九段以来4年ぶり5人目、これまた史上最年少での「竜王・名人」となった。

 これらの記録については、後述する<参考>資料をご覧ください。

終局直後のインタビュー

終局直後のインビューで藤井竜王(新名人)は、「まだ、実感はないが、非常にうれしく思う。名人は、とても重みのあるタイトルだと思うので、それにふさわしい将棋を指さなければと思う」と名人を獲得しての感想を述べた。

また、最年少名人位獲得に関しては、「意識していたわけではないが、順位戦を一つずつ上がっていかなければいけないので、一歩ずつのぼってくることができたうれしさはある」と語った。(正確でないところがありましたら、お詫びいたします)

 

一方、敗れた渡辺名人は、「4局目、5局目と、負けた将棋の内容が特に悪かった」と今期名人戦を振り返った。

また、3連覇中の名人を失冠した結果について尋ねられ、「繰り返しになるが、負けた将棋が特にチャンスも少なかったので、こういう結果になるのは仕方ないかなと思う」と語った。

2004年の「竜王」獲得以来、長い間タイトルホルダーだったが、今回、タイトルを手放すことになったことについては、「この3年ぐらいのタイトル戦の戦いを見ていると、こういう結果になるのも当然というか、力が足りなかったと思う」と述べた。

渡辺九段、再出発!

渡辺名人は、九段(永世称号有資格者)として再出発する。

これまで、タイトル戦の常連として、長年活躍を続けてきた渡辺九段。

今後も、トップ棋士(集団)との戦いが続くと思われるが、再びタイトル戦に登場する姿を見せてほしいと思う。

そして、これからも、渡辺ファンだけでなく、将棋ファンを大いに楽しませてくれる将棋を指し続けてほしいと思う。

 

<参考>史上最年少名人への道 ~ 藤井新名人と順位戦

 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧 ー 名人戦」より。

<参考>谷川十七世名人と順位戦

 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」より。

<参考>歴代「名人位」獲得者 ~ 実力制名人

1 木村義雄(きむら・よしお)十四世名人
①1905年2月21日生(1986年11月17日没)
②1938年(第1期)32才
③獲得8期
④十四世名人(1952年8月24日襲位)

2 塚田正夫(つかだ・まさお)名誉十段
①1914年8月2日生(1977年12月30日没)
②1947年(第6期)32才
③獲得2期
④実力制第二代名人(1989年追贈)

3 大山康晴(おおやま・やすはる)十五世名人
①1923年3月13日生(1992年7月26日没)
②1952年(第11期)29才
③獲得18期
④十五世名人(1976年11月17日襲位)

4 升田幸三(ますだ・こうぞう)実力制第四代名人
①1918年3月21日生(1991年4月5日没)
②1957年(第16期)39才
③獲得2期
④実力制第四代名人(1988年4月襲位)

5 中原 誠(なかはら・まこと)十六世名人
①1947年9月2日生 ※2009年3月31日引退
②1972年(第31期)24才
③登場18回、獲得15期
④十六世名人(2007年11月17日襲位)

6 加藤一二三(かとう・ひふみ)九段
①1940年1月1日生 ※2017年6月20日引退
②1982年(第40期)42才
③登場4回、獲得1期

7 谷川浩司(たにがわ・こうじ)十七世名人
①1962年4月6日生
②1983年(第41期)21才
③登場11回、獲得5期
④十七世名人(2022年5月23日襲位)

8 米長邦雄(よねなが・くにお)永世棋聖
①1943年6月10日生(2012年12月18日没)
②1993年(第51期)49才
③獲得1期

9 羽生善治(はぶ・よしはる)九段(永世称号有資格者)
①1970年9月27日生
②1994年(第52期)23才
③登場17回、獲得9期
④十九世名人(襲位は原則引退後)

10 佐藤康光(さとう・やすみつ)九段(永世称号有資格者)
①1969年10月1日生
②1998年(第56期)28才
③登場3回、獲得2期

11 丸山忠久(まるやま・ただひさ)九段
①1970年9月5日生
②2000年(第58期)29才
③登場3回、獲得2期

12 森内俊之(もりうち・としゆき)九段(永世称号有資格者)
①1970年10月10日生
②2002年(第60期)31才
③登場12回、獲得8期
④十八世名人(襲位は原則引退後)

13 佐藤天彦(さとう・あまひこ)九段
①1988年1月16日生
②2016年(第74期)28才
③登場4回、獲得3期

14 豊島将之(とよしま・まさゆき)九段
①1990年4月30日生
②2019年(第77期)29才
③登場2回、獲得1期

15 渡辺 明(わたなべ・あきら)九段(永世称号有資格者)
①1984年4月23日生
②2020年(第78期)36才
③登場4回、獲得3期

16 藤井聡太(ふじい・そうた)竜王・名人
①2002年7月19日生
②2023年(第81期)20才
③登場1回、獲得1期

 ①は、生年月日(および没年月日)。
 ②は、名人位初獲得年度と年齢。
 ③の名人戦履歴は、2023年6月3日現在。
 ④は、名人に関する称号。永世名人は、名人位通算5期以上保持で資格を持つ。
 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧 ー 名人戦」より。

 

将棋界タイトルホルダー

 

 藤井新名人の「7冠同時保持」は、史上2人目です。

史上初の「7冠同時保持」を達成した羽生善治九段のタイトル戦記録については、下記リンクをご覧ください。

 

 「竜王・名人同時保持」は、藤井新名人で史上5人目です。

また、これまでの最年少同時保持記録は、1994年12月に達成した羽生九段の24才2カ月でした。

歴代「竜王・名人同時保持」者に関する記事については、下記リンクをご覧ください。