フルセット、10対局の大熱戦の末、豊島竜王が「叡王位」獲得! ~ 将棋 / 2020年第5期叡王戦結果
大熱戦のタイトル戦
2020年9月21日、第5期叡王戦第9局が行われ、挑戦者の豊島将之竜王が111手で勝ち、4勝3敗(2持将棋)で叡王位を獲得した。
永瀬拓矢2冠(叡王・王座)に豊島竜王(挑戦当初は竜王・名人)が挑戦した今期叡王戦7番勝負は、決着局がなんと第9局。
今期叡王戦は、6月21日に行われた第1局で千日手が成立、即日(当日)指し直し局を行っている(千日手局は1局とカウントしない)ので、第1局を2局とカウントすると、合計10局にもおよぶ大熱戦のタイトル戦だった。
わたしは、ほとんどの対局をネット観戦したが、対局者2人のタフな戦いぶりには本当に驚かされ、2人の勝負(タイトル)への執念も大いに感じ取ることができた。
総手数の最長記録更新
なお、当然ながら対局数に応じて両対局者の手数も増えていき、総手数はシリーズ合計1,418手を数えた。
これは、今までのタイトル戦での総手数最長記録だった第40期名人戦7番勝負(1982年)、中原誠名人対加藤一二三十段の1,230手を大きく更新する最長記録となった。
(※ この名人戦は、第1局が持将棋、第6局と第8局はそれぞれ千日手差し直しで、計10局が行われ、結果は加藤十段が4勝3敗1持将棋で初の名人位を獲得した)
終局後の2人
第9局終局後のインタビューで豊島竜王は、「本年度はあまりいい結果が出ていなかったので、ひとつ結果が出せてよかった。最初の方の数局は不本意な展開になってしまったが、最後の2局ぐらいはわりと自分らしく指せた」と名人戦(初防衛ならず)と並行して行われた今期叡王戦を振り返った。
また、「(2冠になったことについて)あまり内容のよくない将棋が続いているので、もう少しうまく指せるようにしていかないと、だんだん厳しくなってくるのかなと思う」と述べた。
一方、敗れた永瀬2冠は、「先後(先手番のときと後手番のとき)で勝率の差が出てしまったので、できればその差を埋めたい。(たくさん局数を重ねた今期タイトル戦について)タイトル戦に出る回数がまだ少ないので、タイトル戦の対局数を増やすことができたのはとてもいい経験になった。それをよい糧にできればいい」と3カ月もの長期間に及んだタイトル戦を振り返った。
タイトル戦は続く
さて、今期叡王戦を終えた二人のうち、永瀬王座は、現在、第68期王座戦5番勝負で、久保利明九段の挑戦を受けている。
また、豊島竜王(叡王)は、羽生善治九段が挑戦者となった第33期竜王戦7番勝負が10月9日から始まる。
過密日程は強い人の宿命であるが、挑戦者も含め、全員がベストの体調でタイトル戦にのぞめるよう願っている。
以下、今期叡王戦の対局結果を紹介します。
第5期 叡王戦 対局結果
第1局
6月21日 持ち時間各5時間
先手・永瀬叡王(以下、永瀬と表記します)
後手・豊島竜王(以下、豊島と表記します)
結果(113手、千日手)
第1局
同日 千日手差し直し局
先手・豊島 後手・永瀬
結果(115手、豊島勝ち・1勝)
第2局
7月5日 持ち時間各5時間
先手・豊島 後手・永瀬
結果(222手、持将棋)
第3局
7月19日 持ち時間各1時間
先手・永瀬 後手・豊島
結果(207手、持将棋)
※ 2度目の持将棋成立は、タイトル戦史上初でした。
第4局
7月19日 持ち時間各1時間
先手・豊島 後手・永瀬
結果(232手、永瀬勝ち・1勝1敗2持将棋)
※ 第3局と第4局は「同日」に行われました。(1日2局のタイトル戦は史上初です(指し直し局を除きます))
第5局
7月23日 持ち時間各3時間
先手・永瀬 後手・豊島
結果(113手、永瀬勝ち・2勝1敗2持将棋)
第6局
8月1日 持ち時間各3時間
先手・豊島 後手・永瀬
結果(139手、豊島勝ち・2勝2敗2持将棋)
第7局
8月10日 持ち時間各6時間
先手・永瀬 後手・豊島
結果(91手、永瀬勝ち・3勝2敗2持将棋)
第8局
9月6日 持ち時間6時間
先手・豊島 後手・永瀬
結果(75手、豊島勝ち・3勝3敗2持将棋)
第9局
9月21日 持ち時間各6時間
先手・豊島 後手・永瀬
結果(111手、豊島勝ち・4勝3敗2持将棋)
※ 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「将棋ニュース」より
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