将棋 / 藤井聡太竜王、王将位獲得 ー 史上4人目の「5冠保持者」へ ~ 2021年度第71期王将戦結果

史上最年少の「5冠保持者」へ

2022年2月11日~12日、第71期ALSOK杯王将おうしょう戦第4局が行われ、挑戦者の藤井ふじい聡太そうた竜王りゅうおう王位おうい叡王えいおう棋聖きせい)が、渡辺わたなべあきら王将(名人・棋王きおう)を破り、シリーズ4連勝で王将位を獲得した。

今回の王将位獲得で藤井竜王は史上4人目の「5冠保持者」となり、19歳6カ月での「5冠保持」は、羽生はぶ善治よしはる九段の持つ5冠保持最年少記録(22歳10カ月、当時、棋王・王座おうざ・竜王・棋聖・王位の5冠を保持)も28年ぶりに更新することとなった。

終局後のインタビュー

終局後のインタビューで、藤井竜王は、「自分の実力を考えると、ここまでは、全くのできすぎの結果なのかなと思いますし、今後、そういう立場に見合う実力をつけていけたらと思います」と5冠になった感想を述べた。

一方、敗れた渡辺王将は、「ストレートで負けてしまったことについては、何というか、残念というのも何か違うし、もう少し何とかしたかったんですけど、・・・そういう感じです」と終局直後の心境を静かに語った。

対局は続く・・・

藤井竜王は、2022年3月9日に行われる第80期名人戦・順位戦B級1組最終戦で、A級への昇級をめざして、佐々木ささき勇気ゆうき七段と対戦する。

A級への昇級枠は2人で、藤井竜王が勝てば、A級への自力昇級が決まる。

藤井竜王がA級への昇級枠2人の中に入れるか、B級1組最終戦の勝敗の行方に注目したい。

 

一方、渡辺名人は、現在、第47期棋王戦5番勝負で永瀬ながせ拓矢たくや王座の挑戦を受けている。(2022年2月16日現在、第1局を終わり、渡辺名人の1勝)

渡辺名人が、現在9連覇中の棋王を防衛し、10連覇を達成できるか、こちらも注目したい。

また、渡辺名人は、2022年4月6日に開幕する第80期名人戦7番勝負で、名人3連覇に向けて、斎藤さいとう慎太郎しんたろう八段の挑戦(2年連続)を受けることが決まっている。

息つく時間もなく、強豪相手とのタイトル戦が続く渡辺名人だが、万全の体調で対局に臨まれるよう願いたい。

 

※ 名人位は、A級棋士10人が総当たりで行うリーグ戦「A級順位戦」で挑戦者を決定します。「A級順位戦」で成績1位の棋士が名人位の挑戦者となります。

 

5冠達成者一覧(年少順)

① 藤井聡太(ふじい・そうた)19歳6カ月
2022年2月12日達成
棋聖・王位・叡王・竜王・王将(全8冠)

② 羽生善治(はぶ・よしはる)22歳10カ月
1993年8月18日達成
棋王・王座・竜王・棋聖・王位(当時全7冠)

③ 中原 誠(なかはら・まこと)30歳5カ月
1978年2月6日達成
名人・王将・王位・十段・棋聖(当時全6冠)

④ 大山康晴(おおやま・やすはる)39歳10カ月
1963年2月2日達成
王将・名人・王位・十段・棋聖(当時全5冠)

 

 棋士の敬称・段位・称号は省略。
 ( )内は、当時のタイトル戦の数。
 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「将棋ニュース」2022年02月12日より。

 

歴代「王将位」獲得者

升田幸三(ますだ・こうぞう)
 第1期王将戦(1951年度)33歳
 王将戦履歴 登場5回、獲得3期

大山康晴(おおやま・やすはる)
 第2期王将戦(1952年度)30歳
 王将戦履歴 登場26回、獲得20期
 永世王将

二上達也(ふたかみ・たつや)
 第12期王将戦(1962年度)31歳
 王将戦履歴 登場5回、獲得1期

中原 誠(なかはら・まこと)
 第22期王将戦(1972年度)25歳
 王将戦履歴 登場13回、獲得7期

加藤一二三(かとう・ひふみ)
 第28期王将戦(1978年度)39歳
 王将戦履歴 登場5回、獲得1期

米長邦雄(よねなが・くにお)
 第32期王将戦(1982年度)39歳
 王将戦履歴 登場8回、獲得3期

中村 修(なかむら・おさむ)
 第35期王将戦(1985年度)23歳
 王将戦履歴 登場3回、獲得2期

南 芳一(みなみ・よしかず)
 第37期王将戦(1987年度)24歳
 王将戦履歴 登場5回、獲得3期

谷川浩司(たにがわ・こうじ)
 第41期王将戦(1991年度)29歳
 王将戦履歴 登場7回、獲得4期

羽生善治(はぶ・よしはる)
 第45期王将戦(1995年度)25歳
 王将戦履歴 登場18回、獲得12期
 永世王将(就位は原則引退後)

佐藤康光(さとう・やすみつ)
 第51期王将戦(2001年度)32歳
 王将戦履歴 登場8回、獲得2期

森内俊之(もりうち・としゆき)
 第53期王将戦(2003年度)33歳
 王将戦履歴 登場2回、獲得1期

久保利明(くぼ・としあき)
 第59期王将戦(2009年度)34歳
 王将戦履歴 登場7回、獲得4期

渡辺 明(わたなべ・あきら)
 第62期王将戦(2012年度)28歳
 王将戦履歴 登場7回、獲得5期

郷田真隆(ごうだ・まさたか)
 第64期王将戦(2014年度)44歳
 王将戦履歴 登場3回、獲得2期

藤井聡太(ふじい・そうた)
 第71期王将戦(2021年度)
19歳・・・最年少王将位獲得者
 王将戦履歴 登場1回、獲得1期

 

 棋士の敬称・段位・称号は省略。
 ①は、王将位初獲得年度と年齢。
※ ②の王将戦履歴は、2022年2月16日現在。
 永世王将は、王将位通算10期以上保持で資格を持つ。
 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」および「棋戦一覧 ー 王将戦」より。

 

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