ふきのとう「風来坊」/「雨はやさしいオルゴール」~ 不思議な出会いとふんわりとした思い出

今日は、わたしの思い出の曲として、フォークデュオ「ふきのとう」「雨はやさしいオルゴール」について話します。

 

「ふきのとう」については、以前、「水色の木もれ陽」という曲とともに紹介しました。

 

「雨はやさしいオルゴール」は、ふきのとうのアルバム「風来坊」(1977年11月1日)に収録されている曲です。

ふきのとうがレコードとして発表している曲は、山木やまき康世やすよさんが作詞・作曲をし、それを細坪ほそつぼ基佳もとよしさんが歌い、山木さんがハモるという形が多いのですが、この曲は細坪さんの作詞・作曲・歌(編曲:ふきのとう、瀬尾せお一三いちぞうさん)です。

この曲との出会い

わたしは、「雨はやさしいオルゴール」が録音されているカセットテープを持っていました。

このカセットテープは不思議なテープで、「雨はやさしいオルゴール」が1曲だけ録音されていました。

イヤホンを使って、このテープのAB両面をしっかりと聞いたのですが、「雨はやさしいオルゴール」以外には何も録音されていませんでした。

自分で録音したテープなのか、ほかの誰かが録音したテープをわたしが偶然ぐうぜん持っていただけなのか、まったく記憶がありませんでした。

この曲との出会いは、こんな不思議な出会いでした。

自分で歌ってみると

この曲を初めて聞いたとき、「ふんわりとしたいい曲だなあ」と思いました。

そして、自分でも歌ってみたいと思いました。

さっそく当時持っていたアコースティックギターで、テープを聞きながらコード(和音)を探してメモし、ギターを弾きながら歌ってみました。

ただ、どうしてもサビの部分の音が高すぎて、わたしはそのパートは、裏声うらごえでしか歌うことができませんでした。

イントロのオルゴール

「雨はやさしいオルゴール」は、詞と曲と細坪さんの歌声、それらにアレンジがきれいにマッチしているところがとても魅力的だとわたしは思います。

イントロは、曲の題名どおりオルゴールをイメージしたような楽器が使用されています。

ゆっくりと半音ずつ下がっていく、アルペジオ(分散和音)で演奏されているアコースティックギターのベース音もぴったりとくっついています。

エンディングもこの楽器の組み合わせなのですが、何事もなかったかのように静かに終わっていくことで、この物語を一層美しいものにしているような気がしました。

やさしい歌声と言葉選び

細坪さんの歌声は、本当に透明感があって、この曲のメロディーと歌詞にぴったり合っていると思います。

歌い方もすごくていねいでやさしいなと感じました。

※ 細坪さんが音楽を始めたきっかけは、小学校低学年のとき、「児童少年音楽コンクール」で歌った(2位になった)ことだそうです。

 

また、「古いオルゴール」、「胸をしめつける」、「余韻よいん」、「ものがなしい」、「ためらい」・・・など、歌詞の言葉選びがわたし好みでした。

これらの言葉がこのメロディーにのると、とたんに風景が浮かび、聞いているわたしの心の中にそのシルエットが入り込んで来るのでした。

高校生の歌を聞いて

1980年代中頃だったと思いますが、当時住んでいた家の近くにあった高校の文化祭に行きました。

体育館では、軽音楽のコンサートが開かれていました。

会場に入ったとき、高校生2人組がフォークギターを弾きながら歌っていました。

ちょうど「雨はやさしいオルゴール」のサビの部分を歌っているところでした。

彼らの伸びやかな声を聞き、若いってうらやましいなあと思いました。

また、世代を越えてこの曲が歌い継がれていることをの当たりにし、どういうわけか胸がドキドキしたことを覚えています。

ベスト盤では見つけられなくて

ある日わたしは、通販のリストで「ふきのとうのベスト盤(CD)」を見かけました。

そのとき、「好きだったふきのとうの思い出を残しておこう」と、そのCD(ベスト盤)を買うことにしました。

そして、「できれば『雨はやさしいオルゴール』が入ったものがあれば・・・」と思い、かなり探したのですが見つけられませんでした。

 

結局わたしは、CD「風来坊」(1990年発売)を購入しました。

CD「風来坊」

「風来坊」には、「雨はやさしいオルゴール」だけでなく、歌ったことがある曲や聞き覚えのある曲がたくさん入っていて、少し得をしたような気分になりました。

※ ベスト盤CD「ふきのとう スーパー・ヒット」(2013年発売)も後で購入しました。

ずっと響かせ続けていた

CDを聞きながら、「自分はやはり、この曲が好きなんだなあ」と思いました。

この曲からイメージする風景と、この曲と初めて出会ったときの自分の風景が重なり合って、ふんわりとした一つの思い出になっているような感じがしました。

そして、この曲は、わたしの心の中のとても深い所で、わたし自身も気づかないくらい長い間、本物のオルゴールのように「ずっとじりのない音をひびかせ続けていたんだなあ」と思いました。