応援したくなる2人、164局目の対局 ~ 将棋・2020年 A級順位戦 / 羽生善治九段 対 佐藤康光九段戦を見て
翌日に終局
2020年11月23日、将棋・第79期A級順位戦、羽生善治九段対佐藤康光九段戦が行われた。
わたしは、夕方からネット中継で観戦したが、午前10時に開始された対局が終局したのは、翌日11月24日の午前0時50分。
手数147手、それぞれ6時間の持ち時間は、羽生九段残り2分、佐藤九段は1分将棋(持ち時間が残り1分となり、1手1分未満で指し続ける)となるなど、実に約15時間(昼食休憩、夕食休憩各40分を含む)に及ぶ大熱戦であった。
形勢が動く
わたしがネット中継を見始めた頃は、羽生九段有利の展開だったが、佐藤九段が強く踏み込んで、形勢は佐藤九段の方へ。
しかし、決め手を与えなかった羽生九段が深夜に逆転、羽生九段の勝利で終局した。
(※ これらの形勢判断は、ネット中継の画面に表示されていたAIの数値や解説者の話を参考にしました)
大きな白星
この結果、A級順位戦リーグ全9局の丁度折り返し点である5局目を終わって、羽生九段2勝3敗、佐藤九段3勝2敗となった。
体調不良で入院、11月14日に退院後、中2日で、王将戦挑戦者決定リーグ戦を2局指した後、今回の順位戦に臨んだ羽生九段。
本局に負けると、順位戦の成績が1勝4敗となるところだったので、羽生九段にとっては大きな白星となった。
会長職との兼務で
一方、佐藤九段にとっては、名人戦の挑戦権争い(A級順位戦リーグで1位の棋士が名人に挑戦)から一歩後退となる残念な結果となった。
佐藤九段は棋士であるが、日本将棋連盟の会長もつとめている。
会長職を兼ねながらの対局は大変だと思う。
(※ 佐藤九段は、対局前日の11月22日、「2020年 第41回将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」決勝戦終了直後の表彰式に参加、表彰状の授与(優勝は豊島将之竜王)や締めくくりのあいさつを行いました)
名人戦登場3回で名人位獲得2期、A級以上24期の実績をもつ佐藤九段。
そんな佐藤九段が、再び名人戦に登場(挑戦)し、名人位を獲得する(獲得すれば最年長名人記録となる)ことを佐藤ファンは期待している。
今後もベストの体調で対局に臨まれるよう願いたい。
人間味あふれる熱戦を見て
気が付けば現在、A級棋士(渡辺明名人を含む11人)の中では、佐藤九段(51歳)が最年長、その次が羽生九段(50歳)となった。
しかし、今回2人が繰り広げた対局は、年齢のことをちっとも感じさせない対局だった。
(2人はどう感じているかわからないが)本局での2人の「体力・気力」と「読みの力」はすばらしかった。
目の前の勝負に必死で立ち向かう「人間味あふれる対局姿勢」にも大いに感動させられた。
そして、この2人はやっぱり「応援したくなる2人だなあ」とあらためて感じた。
今後も、2人のますますの活躍を期待したい。
(※ なお、2人の対局は今回で164局目の対局でした。歴代の同一対戦カード記録については、後述の「歴代同一対戦カード対局数」をご覧ください。以下、佐藤康光九段の略歴を紹介します)
※ 佐藤康光九段 略歴
1969年10月1日生まれ、51歳。
1982年12月6級で奨励会入り。
1987年3月25日四段(プロデビュー)。
1989年4月1日五段、1992年3月25日六段、1993年10月1日七段、1996年4月1日八段、1998年6月18日九段に昇段。
竜王戦は1組、順位戦はA級に所属。
今年度の成績は7勝9敗。(未放映のテレビ対局を除く)
通算成績は1054勝651敗(対局数1705)。
~ タイトル獲得履歴 ~ 通算13期
○ 竜王1期
○ 名人2期
○ 棋王2期
○ 王将2期
○ 棋聖6期・・・永世棋聖(就位は原則引退後)
~ 役員履歴 ~
2017年2月6日より、公益社団法人日本将棋連盟会長。
※ 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「棋士データベース」より。年齢・成績・所属・タイトル獲得履歴・役員履歴は、2020年12月4日現在。
※ 歴代同一対戦カード対局数(100局以上)
① 187局 中原 誠 — 米長邦雄(持将棋1)
② 168局 羽生善治 — 谷川浩司
③ 167局 大山康晴 — 升田幸三(持将棋1)
④ 164局 羽生善治 — 佐藤康光
⑤ 162局 大山康晴 — 二上達也(持将棋1)
⑤ 162局 中原 誠 — 大山康晴
⑦ 136局 羽生善治 — 森内俊之
⑧ 125局 大山康晴 — 加藤一二三
⑨ 109局 中原 誠 — 加藤一二三(持将棋1)
⑩ 104局 米長邦雄 — 加藤一二三
※ 参考資料・・・(公社)日本将棋連盟「同一対戦カード記録」より。
※ 棋士の敬称・段位・称号は省略、左側の棋士が勝ち越している棋士。
※ 持将棋は、タイトル戦で生じた持将棋。
※ 2020年12月4日対局分まで(未放映のテレビ対局を除く)