ボクの“うつ”体験 ② ~ 初めて「脳」を意識する

わたしの体験 ― 少しでもお役にたてれば

それは1997年、今から22年前のこと。

家族と話している最中さいちゅう、急に体の力が抜け、わたしは、体ごとこたつの上におおいかぶさった。

これが、わたしの「うつ状態」の始まりだった。

わたしと同じように「うつ状態」になり、今、お悩みの方もいらっしゃることだろう。

今でもときどき、軽い「うつ状態」になるわたしだが、発症からかなり時間も経ち、この病気と、自然な気持ちで付き合えるようになった。

今回から、わたしの今までの体験をお話しさせていただきたい。

経験したことがない症状

救急病院での診察

まず、22年前、こたつの上に倒れこんだわたしが、夜間救急病院に連れて行ってもらった話から。

この救急病院には、何度かお世話になった。

ここでは、初めて救急病院に行ったときのようすを書いてみたい。

救急病院に着くまで

① 家族の声は聞こえており、自分で歩いて自宅の駐車場へ行き、自動車に乗り込んだ。(当然、自動車は家族が運転した)

② 胸の中から空気が抜けるような感じがして苦しかったので、シートを倒し、病院まで寝転んだ状態で行った。

 わたしが笑っているように見えたらしく、家族から「どうした?」と聞かれたが、答えようにも言葉が出なかった。

 今まで経験したこともない自分の症状に、どうせ自分の体がだめになるのなら、病院にいた方が家族に心配をかけることもないだろうと思っていた。

救急病院に着いてから

① 病院の待合室でも同じことを考えていたら、「病院に着いたので、もう心配をかけることもないか」と気付き、胸の苦しさが少しずつ消えていった。

 名前を呼ばれた後、診察室に入り、当直の医師から症状の説明を求められた。

 しかし、倒れこんだときの状況を話し始めたとたん、また体の力が抜け、同じように医師の机にもたれかかった。

 家族が「胸が苦しいと言っていた」と代弁すると、わたしはすぐに診察用のベッドに移され、血圧測定と同時に心電図をとられた。

 「心電図の結果は異常なし」で、「今の状態では何とも言えませんが、気になるようでしたら、しばらく、別のベッドでお休みください」と言われた。

⑥ 指定されたベッドでしばらく横になっていると、胸の苦しさも治まり、自分から「帰る」と言い、その日は帰宅した。

 帰宅する間、わたしは何も話さなかったが、話さないでいると普通の体調に戻り、その夜はすぐに眠った。

心療内科の診察で脳を意識する

初めての「心療内科」

翌日、家族のすすめで近くの「心療内科」へ行った。

その病院に入院したら元気を取り戻した人がいる、ということを家族が聞きつけてのことだった。

心療内科に行くのは初めてだったので、とても緊張した。

即、入院も覚悟していた。

話をきいてもらう

診察は、病院の先生の「元気がないようですが、どうしましたか」という問いかけから始まった。

初診ということもあり、40分近く話を聞いてもらった。

わたしは、「原因はわからないが、急に気分が悪くなることがある」と言い、

「息苦しくなる」

「手足がしびれる」

「話すのがおっくう」

「体が浮き上がるよう」

など、気分が悪くなったときの症状について話した。

そして、話せば話すほど、気分が落ち込んでいった。

脳が休んでいない

先生から、脳の話を聞いた。

初めて聞く話だった。

体は休んでいるようでも、脳がきちんと休んでいないという指摘も受けた。

薬の処方を受ける

今の状態は、軽い「うつ状態」だと言われた。

「気持ちが落ち着く薬(朝、寝るとき)」と「気分が悪くなったときに飲む薬」を処方された。

2週間に1回の通院を1カ月、3週間に1回の通院を1カ月続けた。

自分で判断

その間、レントゲン撮影、心電図検査、血圧測定、血液検査、尿検査なども受けた。

すべて異常なしだった。

通院したとき、先生の話を聞くと精神的にとても楽になった。

薬が効いてきたのか、気分が悪くなることがほとんどなくなった。

わたしは、治ったと思い、通院をやめ、当然薬を飲むのもやめた。

この判断が数年後、自分を苦しめることになる。

次回は、そのことを書きたい。

 

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