ボクの“うつ”体験 ③ ~ 自分を受け止めきれない

症状も対処法も違うという前提で

「一人ひとり症状も違えば、対処法も違う」

前々回の記事(ボクの“うつ”体験 ①)で、「うつ」に対する自分の考えをこのように書いた。

これは、心療内科の待合室や病室でわたしが感じたことだ。

実際、十数人の「うつ状態」の方と話をしたが、みなさん、症状も対処法も違っていた。

そういう前提で、今回も、わたしの体験をお話しさせていただきたい。

環境が変わり、体に変調が

体調に注意しながら生活する

気分が悪くなることがほとんどなくなったわたしは、自分の判断で心療内科への通院をやめた。

そして、処方された薬もすべて飲み終わり、これでらくになると思った。

その後、たまに体がふわふわすることがあったが、そのときは、血圧も上がっており、すぐに体を休めることで、もとの状態に戻すことができた。

わたしは、軽い「うつ状態」と言われてから、体調に注意しながら生活をするようになった。

こうして気分がらくになったのも、体調管理の成果だと思っていた。

「うつ状態」=「弱い人間がなる病気」というイメージが心のどこかにあり、自分がそれを克服したことに満足していた。

生活環境が変わった

しかし、数年たって、再び、あのいやな気分に悩まされることになる。

数年間で生活環境は次のように変わった。

 転勤により、往復80kmの自動車通勤を6年間続けた。

② 転勤1年目は、自分の仕事だけしていればよかったが、2年目から前の職場と同じように主任となり、仕事上考えることが増えた。

 飲み会の翌日は、朝早く目が覚めてしまい、前日の興奮状態が続いていた。(若いときは、昼前まで眠っていた)

 子ども2人が県外へ進学し、家族のために「自分ががんばらなければ」と強い使命感をいだくようになった。

休むことがストレスとなる

転勤して6年目に入った2005年から2006年にかけて、週末になると疲れを感じ、土日は何もする気が起こらなくなった。

仕事のことや家のことで、自分のやりたいことがたくさんあったが、無理をすると元の状態に戻ってしまいそうで、我慢して体を休めた。

この「我慢」が、自分にとってかなりの「ストレス」となった。

通勤途中に感じた変調

2005年の後半から、通勤途中に、以前と同じように気分が悪くなることが数回あった。

車を停車し少し休んで、回復するようであればそのまま出勤し、無理だと思えば家に引き返した。

そのまま出勤したときは、朝、気分が悪かったことも忘れ、仕事に没頭した。

また、家に引き返したときは、前日しっかり眠っていたのに、帰宅した後、ぐっすり眠った。

この辺りでようやく、自分の体の変調に気づいた。

再び通院することに

悪循環におちいる

2006年になり、1月末頃から、週末の夜になると、気分が悪くなることが多くなった。

体がしびれ、血圧があがり、体をどこかへ持っていかれるような不安な気持ちになった。

我慢が限界になったときは、救急病院に行った。

病院では、薬をもらうわけでもなく、ベッドで横になり、体が落ち着くのを待つだけだった。

一度は、「脳梗塞のうこうそくの疑いあり」と診断された。

そのときは、すぐに脳神経外科に行き、CT検査を受けたが、診断は頸椎けいついから来るしびれで、脳梗塞ではなかった。

わたしは、体の変調の原因がわからないことが不安で、それがストレスとなった。

そして、そのストレスがまた不安感をあおるという悪循環におちいっていった。

偶然、先生が当番医だった

救急病院の夜間診療を受けることが続いていたある夜、病院に行くと、本当に偶然だが、わたしが以前通院していた心療内科の先生が当番医だった。

先生は、わたしを覚えていた。

先生は、救急病院の診察記録を見て、わたしが頻繁ひんぱんに応急処置を受けていることを知り、本格的な治療をするようすすめた。

わたしは、家族と相談し、再び同じ心療内科に通うことにした。

前よりも悪化していた体

翌週、わたしは心療内科へ行き、このかんの体の変調について先生に話した。

先生から言われたことで、今でも記憶に残っているのは、

 わたしの体の状態が、以前の通院時よりひどくなっていること。

 いつも脳が動いている状態が続き、休んでいるようで休んでいないこと。

 仕事を続けるためにも、しっかり休む(眠る)ことから始めるといい。

この3点である。

まだ病気を受け止めきれない

投薬治療、そして意識改革

わたしは、再び投薬治療を受けることとなった。

そして、体を休めることに対する悪いイメージをなくすよう努力した。

そういう意識を持たなければ、「らくをしている」、「さぼっている」と、自分をめてしまいそうだった。

しかし、再び「うつ状態」という病気になった自分を受け止めきれないでいた。

「弱い人間がこの病気になる」、これは、大きな勘違いなのだが・・・。

転勤が加わった

この年(2006年)の4月、自宅と同じ市内にある職場へ転勤した。

市の中心部に位置する職場だったので、交通事情もあり、距離は短いが、通勤時間は、自動車で片道約15分だった。

通勤への負担が減り、通勤途中に気分が悪くなることから解放された。

心のどこかに、少しぐらい無理をしても、という気持ちがわいてきた。

一方では、体を休めないとまた気分が悪くなって、という気持ちもあった。

投薬治療、意識改革、それに転勤が重なった。

 

この2年後、わたしは入院することになるが、次回はそのことを書きたい。

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