球界No.1サウスポー / 今永昇太投手の活躍に期待(横浜DeNA)~ 優勝、タイトル、東京オリンピックもめざす2020年
東京オリンピックへの意識
2020年1月14日、プロ野球横浜DeNAベイスターズの今永昇太投手が、母校・駒澤大学のグラウンドで行っている自主トレーニングの様子を公開したというニュースを見た。
背中に「俺、最高」と書かれたTシャツを着た今永投手は、遠投をした後、今年初めてブルペンに入ったそうだ。
ストレートだけを約30球投げ、その後、次のように東京オリンピックへの決意を述べた。
「オリンピックは漠然とした目標でしかなかったが、今は頭の中の大半を占めていること。必ず選出されて結果が残せるように、意識してがんばりたい」
2019年11月に開催された「第2回WBSCプレミア12」では、日本代表の選手として活躍した今永投手。
国際大会の緊張感の中で投球したこの体験が、さきほどのオリンピックを意識した発言につながったのだろう。
(今永投手が「プレミア12」で登板しているとき、テレビ画面には「球界No.1サウスポー」「三振を量産する左のエース」というテロップがつけられていた)
9月に力が発揮できず、反省
今永投手は、2019年12月5日に行われた契約更改交渉で、「1億円プレーヤー」の仲間入りをした。
2019年シーズンは、プロ4年間の中で、キャリアハイの13勝(7敗)、防御率2.91、186奪三振の好成績を残した。
しかし、首位争いをしていた9月に、4試合先発して1勝2敗。
特に最後の2試合はともに失点7で、シーズン終盤でのチームの追い上げにつながらなかった自身の投球を反省していた。
調子がいいときは・・・
9月の試合といえば、9月1日の広島東洋カープ戦で13勝目(5敗)をあげた後、今永投手が満を持して先発した9月10日(9月2試合目の登板)の首位巨人との試合が、わたしは印象に残っている。
この試合、今永投手は、7回を投げて、失点2、奪三振10と好投したにもかかわらず負け投手となった。
わたしはこの試合をテレビ中継で見ていたが、この試合の中で、今でも鮮明に覚えている場面がある。
その場面は、1対0、横浜DeNA1点リードで迎えた6回の表、巨人の攻撃もツーアウトランナーなし、それまで1安打に抑えていた今永投手が、3番打者の丸選手に3ボール2ストライクから投じた球を「ボール」と判定され、フォアボールを与えた場面だ。
投げ終わった後、「ストライク、三振、スリーアウトチェンジ」と思った今永投手は、ベンチの方へ向かって歩き出していたが、「ボール」という判定に立ち止まり、天を仰ぐ。
調子がいいときは、こういうときが危ない。
それは、審判の判定のことではなく、丸選手にフォアボールを与えたことを受け、アウトカウントの確認、塁上のランナーの確認、次打者への注意事項など、気持ちを切り替えて次の打者に備えることができたかということだ。
ベンチを含め、チーム全体でどのような備えができていたかはわからないが、「危ない」というわたしの予感は当たってしまった。
「ツーアウト、ランナー1塁」の場面で、次の4番打者岡本選手が初球をたたき、左中間スタンド上段へ見事なホームランを打ち込んだのである。
たちまち、2対1で巨人が逆転、結局この試合に4対2で勝った巨人にマジックナンバー9が点灯、巨人はそのまま優勝した。
この試合、横浜DeNAベイスターズが勝っていたら・・・、(最後はやはり巨人の優勝だったかもしれないが)セリーグのペナントレースも混戦になり、各チームのファンも熱くなって・・・、うーん、残念。
子どもたちに夢を与える存在
今永投手は、小学生時代はソフトボール、中学生時代は軟式野球、そして高校に入って硬式野球を始めたというごく普通の野球少年だった。
しかも、高校はいわゆる野球の名門校ではなく、地元の公立高校へ進学、少ない練習時間の中で体幹トレーニングを続け、ビデオを活用しながら投球フォームを固めていったという。
決して野球エリートではなかった今永投手は、大学に入ってから「大学ナンバーワン左腕」と呼ばれるまでに成長し、2015年秋、プロ野球横浜DeNAベイスターズからドラフト1位指名を受ける。
プロ2年目(2017年)には11勝をあげ、福岡ソフトバンクホークスと対戦した2017年日本シリーズ第2戦では、出身地・福岡県のヤフオクドームで先発投手として好投した。(投球回6、被安打5、奪三振10、失点1・・・この試合、わたしは実際に観戦した)
「野球が好きな普通の子どもたちに、すてきな夢を与えてくれる存在」
今永投手のプロ入りまでの経緯を知ったわたしは、すぐにそう感じた。
進化する今永投手の活躍に期待!
さて、2020年の今永投手の目標には、チームの優勝、初の個人タイトルの獲得に加え、東京オリンピックへの出場が加わった。
オリンピックの野球は、2020年7月29日の開幕戦は福島県のあづま球場、その後の試合は横浜スタジアムで行われる。
オリンピックでの登板も、現実味をおびてきた今永投手。
常にトレーニングの質を考え、自分の投球フォームや投球スタイルの確立にむけた努力をし、その進化は今も続いている。
2020年も自己ベストの活躍を期待したい。
※ 2022年、ノーヒットノーランを達成した今永投手の記事は、こちらをどうぞ。