背番号25、横浜ベイからタンパベイへ、Please call me Yoshi ~ 筒香嘉智選手、タンパベイ・レイズへ移籍
筒香選手、メジャーへ移籍
タンパベイ・レイズへ
2019年12月18日、朝のテレビの情報番組で、プロ野球横浜DeNAベイスターズからポスティングシステムでアメリカメジャーリーグ(MLB)への移籍を目指していた筒香嘉智選手が、タンパベイ・レイズとの契約が決まり、入団会見を開いている様子が報道されていた。
筒香選手は、2018年末の契約更改交渉の場で、「将来的にメジャーに挑戦したい」とメジャー移籍の希望を球団側に伝えており、2019年シーズン終了後の10月29日に行った記者会見で、メジャー移籍を目指すことを表明していた。
君の力が必要と言われ
レイズへの入団会見で筒香選手は、「(MLBの)多くの球団に評価していただき感謝している。その中でも、レイズの監督、GMから一番最初に声をかけていただき、『勝つために君の力が必要だ』という言葉をもらった。レイズの戦力となって、勝利に貢献できるように、100%力を出し切ってベストを尽くしたい」と、レイズ入団を決めた理由や今後の決意を述べた。
レイズのキャッシュ監督については、「自分を必要としている熱意を一番感じた。キャッシュ監督の熱意がすごく伝わって、レイズに来ないとキャッシュ監督が夢に出てきそうだったので、レイズに決めた」と述べ、会場を和ませた。
また、2020年シーズンからプレーするレイズについては、「守備シフトや投手オープナーなどをいち早く取り入れ、最新のことをしているイメージがあるし、アメリカンリーグ東地区の強豪チームが多い中で、昨年(2019年)96勝しているというのは、そういうものを取り入れて野球界の最先端を行っているというイメージがある」とチームの印象を述べた。
背番号25が「メジャーのベイ」へ
自己紹介の「プリーズ、コール、ミー、ヨシ」(Please call me Yoshi=自分のことを“ヨシ”と呼んでください)を受け、現地の記者からは、さっそく“ヨシ”と呼びかけられていた筒香選手。
メジャー移籍の夢が実現し、この日披露されたユニフォームの背番号は、横浜DeNAベイスターズ時代と同じ「25」。
「横浜ベイ」から「タンパベイ」への移籍も、何かしら縁を感じる。
2020年シーズン、「TSUTSUGO」と書かれたユニフォーム姿の筒香選手が、チームメイトと勝利のハイタッチをし、レイズファンの歓声にこたえる姿を早く見てみたいと思った。
日本メディアとの一問一答
以下、日本から取材にやってきた記者団との主なやりとりを紹介したい。
今の率直な思い
Q.今日初めてレイズのユニフォームに袖を通して、今の率直な思いは?
A.的確な表現がわからないが、素直にうれしい、そういう思い。ほっとしているという感覚はない。
長打力で勝負したいか
Q.こちらでは、日本のスラッガーとして紹介されて、日本のファンも日本と同じようにホームランをいっぱい打つ姿を想像されていると思うが、メジャーでも長打力で勝負したいという思いがあるか。
A.長打を期待されていると思うので、それを打つことがベストだと思うが、出塁率などいろいろな貢献の仕方があると思うので、長打だけとは思っていない。
松井秀喜さんについて
Q.日本から来た野手の中でパワーヒッターは松井秀喜さんだが、参考にされる部分はあるか。
A.松井さんは日本でもどこでもみんなが憧れるスーパースターだと思う。自分なんか到底及ばないが、同じ左バッターとして勉強させていただくことは今までももちろんあったし、これからも変わらない。
1年目の目標は
Q.メジャーに来ての1年目の目標、そして最終的な目標を教えてほしい。
A.最初も最後もタンパベイ・レイズの勝利に貢献することだ。
田中選手への思いは
Q.同じ東地区にヤンキースの田中選手がいる。対戦が予想される田中選手への思いは。
A.(田中選手の実績のすばらしさを述べた後)、対戦させてもらう中で、いろんなことを勉強させていただいて、成長させていただけたらなあと思う。
レイズの野球について
Q.レイズの野球が最新の野球だという話をしていたが、多くの野手が複数のポジションをやって、頻繁にラインナップを変えて戦う、わたしたちも興味があるが、筒香さんもそういう最新の野球の中で自分自身もプレーすることに対する興味、勉強できる部分についてのコメントを聞かせてほしい。
A.今まで経験した野球と違う部分も出てくると思うし、勉強しに来たわけではないので、自分自身としてはレイズの勝利に100%の力を出し切る、それだけだ。
準備してきたもの
Q.さきほど、何年もかけて大リーグにむけ、最善の準備をしてきたというが、これまで準備してきたものや、これからさらに必要になってくると考えているものを教えてほしい。
A.日本でいうと逆方向の重要性だったり、動くボールへの対応というのは、自分の中では準備してきたつもりだ。
楽しみにしていること
Q.今一番楽しみにしていること、早くマスターしたいと思っていることは。
A.初対戦の投手ばかりなので、いろいろ覚えなくてならないこともあるし、早くしたいのは、レイズで試合に出て、早く1勝する瞬間というのを迎えたいと思う。
日本の子どもたちへ
Q.日本の子どもたちに伝えたいメッセージは、
A.日本とアメリカ、世界の違いはあるが、日本が変えなければいけないところもあると思うし、日本の優れているところもあると思う。そういうものを取り入れて、日本の野球界、子どもたちの野球界が変わって、すばらしい日本全体の野球界になることを願っているし、そう願っている方も多いと思っている。シーズン中はできないが、自分ができることがあれば協力したいと思っている。
大谷選手の活躍について
Q.日本人のバッターではこの2年間、大谷選手が活躍しているが、筒香選手はその姿をどういう思いで見ていたのか、
A.誰が見てもすごい選手だと思うし、僕自身勉強する部分はたくさんあると思うので、自分も大谷選手を見て成長させてもらえればと思う。
英語でのスピーチについて
Q.会見の冒頭、英語も披露されたが、ご自身の今のスピーチのできの感想、自己評価は。
A.キャンプインまで、まだ時間があるので、英会話教室をしっかりやって、キャンプインにはある程度しゃべれるようにがんばります。
<資料>
筒香選手プロ野球通算成績(10年間)
所属チーム
2009年横浜ベイスターズドラフト1位(横浜高校から)
2010年~2011年横浜ベイスターズ所属
2012年~2019年横浜DeNAベイスターズ所属
通算成績とタイトル
968試合出場、4000打席3426打数977安打、打率.285、本塁打205、打点613、四死球551、三振833、長打率.528、出塁率.382
タイトル:打点王(2016年ー110打点)、本塁打王(2016年ー44本)
※ 参考資料~NPB「個人年度別成績」より
タンパベイ・レイズ(Tampa Bay Rays:TB)
アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)アメリカンリーグ東地区所属。球団創設は1998年。創設時は、タンパベイ・デビルレイズ。レイはエイ、デビルレイは本拠地のあるフロリダ湾に多く生息するイトマキエイのこと。2008年からレイズと改称。レイ=光線という意味も加わった。
1998年~2007年までの10年間は、2004年の地区4位(5球団中)以外は、地区最下位。
2008年、初の地区優勝、初のリーグ優勝、ワールドシリーズ進出。当時は、岩村明憲選手(2006年シーズン終了後、東京ヤクルト・スワローズからポスティングで移籍)も所属。
2019年は96勝66敗、ワイルドカード2位。ワイルドカードゲーム(1回戦制)でオークランド・アスレチックス(ワイルドカード1位)に勝利し、アメリカンリーグディビジョンシリーズ(地区シリーズ)へ進んだが、ヒューストン・アストロズ(中地区優勝)に2勝3敗で敗退。
21年間の通算成績は、1590勝1810敗、勝率.468。
地区優勝2回(2008年、2010年)、リーグ優勝1回(2008年)、ワールドシリーズ優勝なし。
過去、レイズに在籍したことがある日本人選手は、野茂英雄さん(2005年)、森慎二さん(2006年~2007年)、岩村明憲さん(2007年~2009年)、松井秀喜さん(2012年)の4人。
本拠地は、フロリダ州セントピーターズバーグにあるトロピカーナ・フィールド(密閉式ドーム球場)。
アメリカンリーグ/所属球団と日本出身選手
※ 各地区ともアルファベット順
東地区
ボルチモア・オリオールズ(BAL)
ボストン・レッドソックス(BOS)
ニューヨーク・ヤンキース(NYY)~田中将大選手
タンパベイ・レイズ(TB)~筒香嘉智選手
トロント・ブルージェイズ(TOR)~山口俊選手
中地区
シカゴ・ホワイトソックス(CWS)
クリーブランド・インディアンス(CLE) ※2022年より「ガーディアンズ」に名称変更
デトロイト・タイガース(DET)
カンザスシティ・ロイヤルズ(KC)
ミネソタ・ツインズ(MIN)
西地区
ヒューストン・アストロズ(HOU)
ロサンゼルス・エンゼルス(LAA)~大谷翔平選手
オークランド・アスレチックス(OAK)
シアトル・マリナーズ(SEA)~菊池雄星選手
テキサス・レンジャーズ(TEX)
※ 2020年1月13日現在
※ クリーブランド・インディアンス(CLE)は、2022年より「ガーディアンズ」に名称を変更しました(追記:2023年7月15日)
ナショナルリーグ/所属球団と日本出身選手
※ 各地区ともアルファベット順
東地区
アトランタ・ブレーブス(ATL)
マイアミ・マーリンズ(MIA)
ニューヨーク・メッツ(NYM)
フィラデルフィア・フィリーズ(PHI)
ワシントン・ナショナルズ(WSH)
中地区
シカゴ・カブス(CHC)~ダルビッシュ有選手
シンシナティ・レッズ(CIN)~秋山翔吾選手
ミルウォーキー・ブルワーズ(MIL)
ピッツバーグ・パイレーツ(PIT)
セントルイス・カージナルス(STL)
西地区
アリゾナ・ダイヤモンドバックス(ARI)~平野佳寿選手
コロラド・ロッキーズ(COL)
ロサンゼルス・ドジャース(LAD)~前田健太選手
サンディエゴ・パドレス(SD)
サンフランシスコ・ジャイアンツ(SF)
※ 2020年1月13日現在
メジャーリーグ対戦相手
アメリカンリーグ(指名打者制度あり)15チーム、ナショナルリーグ(指名打者制度なし)15チームがそれぞれ、東地区、中地区、西地区に、5チームずつ分かれている。
① 自チームを除く同一地区4チームと19試合ずつで76試合。
② 他の2地区の10チームと6~7試合で66試合。
③ 他のリーグのチームと年間20試合。(インターリーグ)
合計、162試合。
※ 試合は引き分けなし、時間制限なし。