円谷幸吉選手の恋 ~ 1964東京オリンピックのかげに

戦後初の快挙

10月21日夜、NHKテレビ「サンデースポーツ2020」で、故円谷幸吉(つぶらや・こうきち)さんの特集があった。

この日、10月21日は、1964年に開催された東京オリンピックの陸上競技最終日。

円谷幸吉さんは、今から54年前のこの日、男子マラソンで銅メダルを獲得した。

陸上選手としてのオリンピックでのメダル獲得は、戦後初の快挙。

番組では、マラソンのゴールがある国立競技場に入ったときは2位だった円谷さんが、イギリスのベイジル・ヒートリー選手(当時の世界最高記録保持者)に競技場内で追い越され、惜しくも3位になった当時のレース映像や、表彰式での晴れやかな姿などが流された。

現存する円谷さんの資料を紹介

特集は、「円谷幸吉の恋」というテーマで、現存する資料を紹介する形で進行していった。

円谷さんは、自分が恋人に送った手紙も恋人から受け取った手紙も、ノートにていねいに書き写していた。

円谷さんの真面目さが伝わってくると同時に、付け加えられたハートマークを見て、とても微笑ましく思った。

円谷さんを励まし続けた人との別れ

しかし、彼を励まし続けた恋人との結婚話は、やがて破談になる。

その理由は、次期オリンピックでのメダルを優先すべきとの周囲の声だった。

円谷さん、自ら命を絶つ

東京オリンピックの次に開催されるメキシコオリンピックに向け、練習を続けていた円谷選手は、最後は自死してしまう。

 

遺書も紹介されたが、今でもやりきれない気持ちでいっぱいになる内容だ。

 

選手も人間というメッセージ・・・

2020年は、56年ぶりに東京オリンピックが開催される年。

 

「選手も人間であり・・・ 過度な期待で選手を追い詰めることがないように・・・」

 

東京オリンピックを2年後に控え、日本選手への期待もふくらむ中、大越健介キャスターが番組の最後に発したこのメッセージが、わたしの心の奥の方まで届いた。

番組を見終わった後、しばらく時が止まったように感じた。